アンゾフの成長ベクトルを活用して戦略・戦術を練る
2017/05/16
アンゾフの成長ベクトルを活用して戦略・戦術を練る
タイトルからすると小難しいことを書いている感じを受けますが、いたってシンプルな考え方です。
市場とサービスを新規と既存に分けて、これをマトリクス方式にして掘り下げていく考え方です。(アンゾフの成長ベクトル)
字だけで書くと難しく見えるので事例を出しながら書いていきます。
現在のサービスと顧客(ターゲット)を洗い出す
まずは、自店・自社で提供しているサービスと、ターゲットとしている顧客や市場について、既存の位置づけのものと新規の位置づけのものでそれぞれ洗い出していきます。(現状分析でおこなっていてもよいです。)
例として飲食店A店について取り上げてみましょう。
こちらのお店は、ランチ時に20・30代の女性サラリーマンが多くいますが、ディナーになると30・40代の男性サラリーマンがほとんどとなります。
そこで、女性サラリーマンにディナーにも来てもらいたいと考え、新規市場としてディナー時の20・30代の女性サラリーマンを入れました。
また、新しく食材販売を行うので、近隣のファミリー層のおかずなどで使ってもらえるのではないかということで、新たな顧客層として近隣住民をターゲットとしました。
既存や新規の位置づけは、自店・自社としてどういう位置づけかということで区分けして構いません。
例えば、商品やサービスを提供し始めているものの、まだ本格的に売り込みをかけることが出来ず、お客様に浸透していないということであれば、新規サービスでよいです。
市場についても、少しは来ている層でもこれから本格的ターゲットとして売り込みたいというのであれば、新規市場(顧客層)ということで位置づけてよいです。
サービスと市場がクロスするところで何ができるかを考える
市場とサービス、それぞれの既存と新規を洗い出したら、それぞれがクロスしたところで、何ができるか戦略を考えていきます。(アンゾフの成長ベクトルと言います。)
この表を少し解説します。
①市場浸透戦略
既存サービスを既存の市場(ターゲット)で伸ばしていく戦略です。
既存顧客の購買頻度・購入量を増加させる、ターゲット内の未利用者の利用を促進させる、競合から顧客をシフトさせるなどを、どう施策を打っていくかということを考えていきます。
②新市場開拓戦略
既存サービスをそのまま、または改良して新しい市場(ターゲット)に展開していく戦略です
新ターゲットの設定、潜在顧客の発掘、新しい販路の開拓、エリアの拡大などをどうやって行っていくかを考えていきます。
③新製品開発戦略
既存市場(ターゲット)で、シェア拡大のために新しいサービスを開発し、投入していく戦略です。
市場にはない商品の開発をおこない、新たな需要を獲得していく施策です。
④多角化戦略
新しいサービスを新しい市場に投入する戦略です。
既存サービスに関連するサービスや事業に参入するのが望ましく、全く関係ないサービス・事業で参入するのは難しいことが多いと言われています。
それでは、前述したA店で少し考えてみましょう。
クロスSWOT分析の時と同じように、何と何を組み合わせて施策が考えられたのかということをわかるようにしておくため、サービスには数字を、市場にはアルファベットを付しておきます。
ここまで3つの方法で、戦略・戦術の洗い出しを行いましたが、内容が重複することもあります。
すべて網羅しておこなっていくことは難しい場合が多いので、経営方針を踏まえながら、この中から必要なものを選択し、その年の戦略・戦術として設定していきます。
また、経営方針として掲げているにもかかわらず、その下にぶら下がる戦略・戦術がない場合は、もう一度検討し、それでも考えがつかない場合は、課題として残し、年度の中で設定・解決していくようにしましょう。